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トーキョー・シティを、フットボールで遊べ!/ TOKYO CITY F.C.

 
「ミレニアルズに響くクラブ」
。東京のとあるアマチュアサッカークラブ、「TOKYO CITY F.C.」が目指すのはそんなクラブだ。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を中心に話題となったイラストレーターを起用した、クラブロゴのモーショングラフィック、北マリアナ諸島代表との国際親善試合など、ちょっと、いや、だいぶ変わった運営をしている。そんな「本気でフットボールを遊ぶクラブ」が考える、若者世代を巻き込むクラブとは? 

 

フットボール・クラブという実験場

 
 TOKYO CITY F.C.(以下シティ)は、東京都心に拠点を置くアマチュアサッカークラブだ。創設2年、東京都リーグ4部参入1年目で優勝・昇格、J1から数えて9部相当のカテゴリーである「東京都社会人サッカ ーリーグ 3 部」に今年から挑戦する。そして勢いだけじゃない。「シティ」を冠するそのクラブ名に、なにやら野心を感じずにはいられない。

Photo courtesy of TOKYO CITY F.C.

「サッカーを若い世代の日常にしたい」。そう話すのはシティ代表の山内一樹だ。1980年代から2000年代初頭までに生まれたミレニアル世代が、サッカーをスポーツとしてだけではなく、「アクティビティとしてかっこいい」と思ってもらいたいという思いから始まった。

「友達と遊ぶ中で、キャンプだったり、BBQだったり、生活の中で楽しめるようなシーンを作りたいと思っていました。それならサッカー。やるなら自分たちで。それがきっかけです」

「PLAY new FOOTBALL, PLAY new TOKYO」というクラブコンセプトはそんな山内らの理想を表現している。海外遠征など普通の草サッカーで河川敷でプレーする以上の喜びや、試合会場での出張バーはじめ、試合以外の様々な体験など、プレーヤー、ファン双方の体験価値を高めることを追求している。

「若い人が日常的にサッカーに熱中するシーンはなかなか見られません。代表戦は盛り上がるけど、毎週あるかといったら…。シティは、なにか楽しいことを仲間としたいと思った時に、遊びのひとつとして集える場所でありたいなと考えています。そうすることで、サッカーをみんなで楽しむアクティビティーの一つとして提案していきたいです。最終的にはそれが日本のサッカーにかえってくると思っています」

 スポーツ、IT業界での起業家やアパレルブランドのデザイナーなど、ユニークなメンバー構成もシティの特徴。「本業ではとんがりすぎてなかなかやりづらい、実績がなくて稟議があげられない。そんなときにシティで実績を作って上司に見せる、というように、若者にささるコンテンツ作りの実験の場になっていて、それがうまく機能しています」と山内。ツイッターを通して繋がっていたメンバーが、シティ立ち上げの中心だったということも、ソーシャル世代ならではだ。

Photo courtesy of TOKYO CITY F.C.

フットボールの最適化

 
 若い世代へ訴求するクラブ作り。新しい層にサッカーというコンテンツが求心力をもつためには、なにが必要なのだろう。

 山内がシティで最も大切にしてるのは、「伝え方を最適化する」こと。学内起業からはじまった「大学スポーツチャンネル」をはじめ、本業ではデジタルマーケティングに従事する山内。自身もミレニアル世代である彼は、デジタル領域に接する時間の多い若者に、いかにコンテンツとの接触の「点」を増やして、そこから質を高め「面」を広げていくかが大事だと話す。

Photo courtesy of TOKYO CITY F.C.

ターゲットごとに情報やアプローチのしかたを最適化して伝えていくことを常に考えています。例えば、ミレニアル世代の、とりわけ女性世代は価値観が多様化しているとは言われますが、実は共通点がある。いわゆる『リア充』と言われてるような、アクティビティに積極的に参加して、SNSで発信するインフルエンサーがすごく影響力を持っていることです。
まずはそういった人たちにサッカーを好きになってもらう努力が必要。そこから友達やフォロワーに広がっていく。その代表例がカラーランやエレクトリックイベントだと思っています。それがスポーツなのかという議論はありますが、体を動かしながら楽しめるアクティビティとしてサッカーに通ずるところがありますし、
何より参加している様子が楽しそうでSNS映えするんです。ウルトラジャパンや、野外での音楽フェスにも同じことがいえると思います」 

 

Put da Trop in the coconut and mix it all up! 🌴⛱#Happiest5k #Tropicolor

thecolorrunさん(@thecolorrun)が投稿した写真 –

  
 きゃりーぱみゅぱみゅなどが所属し、日本の原宿カルチャーを世界に発信するアソビシステムは、一般的な知名度はないが、若者に絶大な影響力を持つタレントが数多く所属する。所属タレントのTwitterのフォロワーを合計すると約800万人(買った空アカウントではなく、ほぼ生きているアカウントだという)にものぼり、マスメディアに頼ることなくタレント自身がメディアになっている。これは日本のKawaiiカルチャーを、国内外に爆発的に認知させた成功例じゃないだろうか。

「非日常感を味わえる体験をいかにトータルで作っていくか。そういった体験をいかに日常的なものとして落とし込んでアピールしていけるかだと思います。そう考えると、サッカーの観戦はすでに非日常的なもので、コンテンツとして盛り上がるポテンシャルはまだまだある。じゃああとはなにが必要か?そこをいかに日常的に伝えていくか。伝え方の部分だと思うんです」

 
ソーシャルの運用方法はそれぞれ違う

 
「ニューヨーク・シティF.C(NYCFC)のSNS や、Webでのプロモーションを見たとき、『なんてかっこいいクラブなんだ!』と思いました」と山内。「SNSといっても、
SNSによってアプローチしたい層も、運用のしかたも変わります。MLS(メジャーリーグ・サッカー)はSNSのプラットフォームごとに最適化されて運用されています。お金があるからそこに人をかけられる、どっちが先かという部分はあるものの、日本の多くのスポーツクラブやリーグは、更新情報を垂れ流して完結してしまっていることが多いです。それだとユーザ視点からはおもしろいものではありません。なので、シティでは出来るだけ各SNSに特化した運用方法を心がけています」

 昨シーズン、MLS史上はじめてニューヨークのクラブ同士が「ハドソン・ダービー」と銘打ってぶつかった。試合にいたるまでの、「共犯関係のつくり方」が素晴らしく、否が応でも感情が昂った。ニューヨークとはいうものの、実際の本拠地はニュージャージーの強豪レッドブルズ。経済的には恵まれているがなかなか勝てない、「ニューヨークシティ唯一のクラブ」のプライドがあるNYCFC。その対立感情をうまく煽ったのはソーシャルのプロモーションだった。結果、(サッカー専用スタジアムということもあるが)ダービー当日のスタジアムの雰囲気はヨーロッパに劣らない熱気で、スポーツ大国の本気を見せつけられた日となった。

Photo courtesy of TOKYO CITY F.C.

「クラブ、ローカルごとにストーリーがあるのでこれが答えだというのは一概にいえませんが、ソーシャルはやはり若い世代へアプローチするツールとしては強いと思います。僕ら世代にとってソーシャルを使うことは普通のこと。その母数を大きくしていくにはパワーが必要になってきますけど、まずはやるというフットワークの軽さ、スピード感が大事なのではないかと思います」

 
オンザピッチ、オフザピッチの両輪で

 
 最大の目標は、「最終的にワールドカップで日本代表を優勝させるために、オフザピッチの領域から力になること」と山内。

「そのための手段のひとつがシティだと思っています。若者のあいだで文化になりきれていないからこそ、サッカーってもっとかっこよくて、イケていて、アクティビティとして最高だぜ、というメッセージをたくさんの人に発信して日常的なものにしていく。そうすることで社会全体でのサッカーの価値を高めていきたいです」

 経験の豊富な選手の加入や、今シーズンからの外部監督招聘など、オンザピッチでの動きもスピード感が増している。「強くならないでいいかといったら絶対に違います。やはりそれが本質ですし、いまの課題です。なかなか越えがいのあるハードルではあるんですが、オンザピッチ、オフザピッチの両輪がそろってはじめて、かっこいいチームになれると思っています」

Photo courtesy of TOKYO CITY F.C.

 シティをはじめたことで、自分と同じ思いを持つ沢山の若者がいるということを知れたことが一番嬉しいと山内は話す。それはシティが山内自身の日常にも影響を与えているということ。すこしづつ、確実に、サッカーは若者のカルチャーに歩み寄っている。最高にイケててワクワクする、僕らのサッカー。その未来はそんなに悲観的なものじゃない。さぁ、「ゆとり世代の草食男子」たち、次は自分たちがどの大人よりも楽しむ番じゃないか?フットボールで、トーキョーを遊べ!

 

 

山内一樹(やまうち・かずき):
1989年、横浜生まれ。2007年(18歳)から東京ヴェルディや川崎フロンターレにてフロントスタッフとして現場経験を積み、2009年(20歳)に株式会社大学スポーツチャンネルの創業に参画。大学卒業後はサイバーエージェントに勤めた後、独立。再び株式会社大学スポーツチャンネルにて取締役として活躍。主にプロスポーツリーグや競技連盟・大学のミレニアルズマーケティング・デジタルマーケティング戦略推進に従事している。また、TOKYO CITY F.C. を立ち上げ代表を務める他、VANTAN SPORTS ACADEMY にてデジタルマーケティング領域の講師を、THE SPORTS BUSINESS にて主筆としての活動を行っている。

 

Tokyo City F.C.
HP: http://tcfc.jp/
Facebook: https://www.facebook.com/tokyocityfc
Instagrm: tokyocityfc

Photographer: Hitoshi Tamura 

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About Takuya Wada

Takuya Wada
和田拓也: DEAR Magazine編集長。バンドマンやらシステムエンジニアやら世界1周を経て、NYのデジタルマガジン、HEAPS編集部でインターンシップとして勤務し、企画から取材、執筆を担当する。その後、DEAR Magazineを立ち上げる。カレーと揚げ物が3度の飯より好き。

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