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日本一「自由」なフットボーラーを決めろ。/フリースタイルフットボール

大型連休で賑わう5月、フリースタイルフットボーラーの頂点を決めるJapan Freestyle Football Championship(以下JFFC)が2日間に渡って開催された。今年で2回目の開催を迎え、今年よりこの大会の優勝者へのプライズとして与えられる、アジア大会とロンドンで開催される世界大会「Red Bull Street Style Final」への出場権を掛けて、76名のフットボーラーが集まった。

 
フリースタイルフットボールとは?

 
 少しづつだが確実に盛り上がりを見せつつあるフリースタイルフットボールシーン。ブラジルW杯の開催中に流れた、徳田耕太郎(*1)が出演する日清カップヌードルのCMなどで、「フリースタイルフットボール」を目にした方も多いのではないだろうか。

 アクロバティックでトリッキーなリフティングやドリブル、音楽に合わせたダンスのようなものをイメージするかもしれない。しかし、フリースタイルフットボールをひとことで表すのは、これが結構難しい。なぜなら、これらはフリースタイルフットボールの可能性のひとつに過ぎないからだ。ボールを使って「技」を競うスポーツでもあり、プレーヤー個々の「スタイル」を表現し魅了するエンターテイメントでもある。

 まどろっこしくなってしまったが、ひとつ言えること。「こうでなければいけない」という答えがない、「最も自由なフットボール」、それがフリースタイルフットボールなんじゃないだろうか。そう、まさに名前そのもの。そんな日本一「自由」で、「ウマい」奴を決める大会がJFFCだ。 

*1:フリースタイルフットボーラー。Red Bull Street Style World Final 2012にて史上最年少で優勝し、レッドブル・アスリートとして国内外でパフォーマンス活動やレクチャー、クリニックなど精力的に活動している。

 
波乱と実力伯仲の今大会

 

「日本一、世界で戦える日本人」を選ぶ。それがこの大会の目的だ。それを高い次元で達成するために、今大会は欧州やアジア、世界各国の王者たちが招かれ、主催者である横田陽介(*2)とともに審査員に加わって大会は行われた。

 パフォーマンスは30秒を1ターン(ムーブ)とし、それを交互に繰り返しバトルを行う。繰り出す技の難易度、種類の多さ、独創性、流れや構成などを審査員がジャッジを下し、勝敗が決まる。

 プレーヤーたちはDJの音楽を合図に、とても人間業とは思えない技を応酬させバチバチにやりあう。技だけでなく、闘争心剥き出しの表情で、ひたすら観客を盛り上げるリアクションで、唯一のスタイルで。様々なかたちでオーディエンスを魅了する。この30秒に辿り着くまでに、一体どれだけの時間を費やしたんだろう?フリースタイルフットボールの醍醐味を余すところなく味わえる空間となっていた。 

 
*2:JFFCを主催。2006年にオランダにて行われた世界大会Masters of the Gameに日本人初出場。2008年にはブラジルで行われた世界大会で準優勝を果たす。リーダーを務めるBall Beat Crewを率いて国内外でパフォーマンスを行っている。また株式会社Ball Beatの代表取締役として、JFFCの主催やスクールを開講するなど普及活動を精力的に行う、日本フリースタイル・フットボール界のパイオニア的存在。

 また、今大会は世界トップクラスの国内フリースタイラーが数多く集まり、tokura(徳田耕太郎)や、前回チャンピオンのKU-TAが決勝トーナメントで敗退する波乱や、10代のフリースタイラーの活躍など、誰が勝つか最後までわからない、実力の伯仲する非常にサバイバルな大会でもあった。


JFFC 2016 決勝トーナメント ダイジェスト via CHIMERA YouTube

 
 そんな中、激戦を制し見事優勝したのは、「Ko-suke」。2015年にアジアチャンピオンに輝いた、現在最も勢いのあるプレーヤーだ。

Ko-suke

ー優勝おめでとうございます。いま、率直にどんな気持ちでしょうか?

ありがとうございます。日本って本当にレベルが高くて、いろんなプレーヤーがいろんなスタイルで競っていて、しかもうまいっていう、アジア圏でも随一のレベルの高さなんです。そんな中で勝ち抜いて優勝できたことが、本当に嬉しいです。

 
ー世界大会に向けて抱負をお願いします。

 世界大会に準備するにあたって、自分の足りない部分が今大会で浮き彫りになりました。今のままではまだ勝てないと思うので、そういうところを修正していきたいです。確実に世界を獲れる実力を身につけて、世界大会に臨みたいと思います。

 
アンダーグラウンドからオーバーグラウンドへ

 

 実際に大会に足を運んで驚いたのは、何も彼らのパフォーマンスだけじゃない。間に挟まれる中休みではワークショップが開かれ、実際にトライしてみたくなった子、ボールを蹴ってみたくなった子、恥ずかしそうに親の後ろに隠れている子を誘って、ていねいに教える。次に試合を控えたプレーヤーだっている。でも、プロのプレーヤーに、欧州、各国のチャンピオンに、試合を見てドキドキさせてくれたひとたちに、ボールを扱うことの楽しさを教えてもらった子供達は、何を思うだろう?自分もやってみたい。教えてくれたお兄ちゃんを応援したい。絶対にそうなると思う。

 

 大会を通して、主催する横田はもちろん、実際にプレーしたプレーヤー、審査員として招待された各国のチャンピオン、フリースタイルフットボールというシーン全体から、「もっと拡げていきたい」という熱を感じた。

  そして、こんなにもアツいフットボールの世界がまだあったのか。この数日を通して思ったことだ。まだまだアンダーグラウンドなシーンなのかもしれない。しかし、だからこそ感じる、シーン全体の躍動感や力強さがある。力を持ったフリースタイラーが次々と出てくるのもそれを如実に表しているんじゃないだろうか。そして、何かがカウンター的にメインストリームへと押し上げられるときは、得てしてこういったうねりがあるものだ。

 
フリースタイルも、紛れもない「フットボール」

 

「2008年で世界大会に出て準優勝してから、人生が変わった」。横田はそう語る。それぞれのフリースタイラーは、たった、たった30秒という一瞬のために、途方もない時間を費やして技を磨き、自身と向き合い、情熱を、人生をフットボールに委ねる。アンダーグラウンドで自身のスタイルを誇示し合う彼らの表情に、フットボールからはじまるユースカルチャーを見た気がした。

 フットボールは、もはやスポーツの域に収まらない。スケートボードやサーフィンがそうであるように、ファッションや音楽、映画、僕たちのさまざまな文化に結びつき、生きもののように姿を変えて新しい文化を生み出す。そしてそこに存在するひとのアティチュードやスタイルが映し出される。

 最高のフットボーラーは誰か?90分の試合の中で、というならまだ難しくないかもしれない。だがフットボールには、さらに悩ましい、まだ僕たちが知らない世界が存在する。

 日本で「一番自由で」、「一番ウマい」奴を決める2日間。人知れず、しかし紛れもない「フットボール」がそこにはあった。

取材協力:JFFC
Photos by Takuya Wada

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About Takuya Wada

Takuya Wada
和田拓也: DEAR Magazine編集長。バンドマンやらシステムエンジニアやら世界1周を経て、NYのデジタルマガジン、HEAPS編集部でインターンシップとして勤務し、企画から取材、執筆を担当する。その後、DEAR Magazineを立ち上げる。カレーと揚げ物が3度の飯より好き。

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