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“そこに在るための広告”。Jリーグサポーターが広告枠を買う理由

「そこに在るための広告」。そんな広告があるのは、とあるJリーグのスタジアム。みなさんが考える一般的なスタジアム広告とは、ちょっと異なる「広告の在りかた」をしています。それは「サポーターが広告枠を買い、サポーター自身が、サポーターのために掲出する広告」だということです。

 
利益のない広告?

 
 ジェフユナイテッド市原・千葉の本拠地であるフクダ電子アリーナ(フクアリ)。その場内に掲出されている看板広告の中で、唯一
営利目的でない広告が、「千葉フェライン」の広告です。

 千葉フェラインは2010年からフクアリに看板広告を掲出し、有志でジェフをサポートする団体です。サポーター自らが企画し、費用を集め運営しています。

 一般的に、企業はサッカークラブを通して自社の存在をアピールし、利益に繋げるために広告枠を使います。しかし、千葉フェラインは自分たちでお金を出し、サポーター自身の愛情をアピールしています。愛情の対象はクラブですから、つまり、クラブ(のスタジアム)から広告枠を買い、クラブをアピールしています。直接的な利益は広告主である千葉フェラインには発生しません。発信するうえでのベクトルが、普通の広告とは違うのです。そんな千葉フェラインの代表を務める川野さんと運営スタッフの高橋さんにお話を聞いてきました。このような広告を出すのは一体なぜなんでしょうか?

ホーム側ゴール裏から見た千葉フェラインの看板 photo by INUUNITED

 

INUUNITED:
サポーター自身がスタジアムに広告を掲出する、という発想はいつ頃出てきたんですか?

川野:
フクダ電子アリーナ(以下フクアリ)が完成してしばらくは看板広告がビッシリ埋まっていたんですが、だんだん減ってしまって。サポーターとしてできることをしよう!と、ジェフがJ2に降格した2010年からこのプロジェクトをスタートしました。

高橋:
サポーターみんなでお金を出し合って1つの看板を出す。イメージとしては一口馬主です。他のクラブでは経営危機の際に寄付を募ったケースなどがありましたが、ジェフはそういうわけではなかったので、直接的支援とは別の方法でサポートするのもいいんじゃないかなと。

川野:
フクアリは千葉市が所有しているので、広告を出してもクラブへの直接的支援にはなりません。様々な支援の形のニーズに応える受け皿を作りたかったというのもあり、この方法を採用しました。「サポーターがクラブを支えている」というのをわかりやすい形で示すことで、地元企業や地域の方々もクラブを支援しやすい雰囲気を作るという狙いもあります。

 
あえて設定した5000円というハードル

 

 
川野:
最初は赤字覚悟で知り合いだけに協賛をお願いしていました。一口5000円という額は「それなりの責任を1人1人に持って欲しい」という目的があり、ネットでの協賛募集を開始してからも継続しています。今では3桁を超える方から協賛をいただいています。

INUUNITED:
僕も今季は協賛させていただきましたが、去年まではちょっと5000円は重いなあと躊躇していました(笑)

他クラブのサポーターや中高生向けのプランがあるといいですよね。協賛者へのノベルティグッズも非常にしっかり作られていますが、そちらのプランではビックリマンのパロディシールみたいな軽いものにするとか。グッズのデザインなども外注ではないんですよね?

高橋:
グッズやホームページデザインなどの担当がいて、システムを組むエンジニアが自分で、川野が運営全般を担当という3人で運営しています。元々ゴール裏で応援していた仲間で集まって何かしようっていう感じで。

川野:
こんな面白いことをできたらいいよね~ってみんなで話してたら、その日の夜には誰かが「出来上がりました」ってデータをアップしてるみたいなことが結構あって(笑)自分たちがまず楽しもうというところから始まってます。

今後のノベルティに関しては、ジェフサポーターのクリエイターの方にイラストなどをお願いすることも考えています。

これまでのノベルティグッズ。2011年にはいぬろぐ&バディブルウスというジェフサポ2大絵師によるコラボトートバッグが進呈された
これまでのノベルティグッズ。毎年趣向を凝らしたグッズが作成されている。

 
INUUNITED:

自給自足ですよね。サポーターが自分たちで考えて、自分たちで行動して、自分たちでスタジアムに広告を出して、自分たちでそれを見て喜んでいるという(笑)最高の大人の遊びだと思います。

川野:
僕らはあくまでもきっかけを作っただけで、自分たちが感じている「こうであったらいいな」ということに対して、同じ思いを少なからず持っていてくれるジェフサポーターのみなさんがいるからこそ、こうして毎年続けられています。ジェフのビッグフラッグでも使用されている「ALL YOU NEED IS FOOTBALL」というフレーズを使っているのもそういうことで、サポーターから発生した言葉っていうところが良いんですよね。

 
スタジアムに行けなくても、サポートしたい

 
川野:
協賛申し込みの際に熱い想いを書いていただいたりすることが結構あるんです。「最近フクアリには行けないけど、応援する気持ちを託させてください」みたいな。家庭ができたり引っ越したりして試合を観に行くことが難しくなった方に協賛していただくケースは結構あります。

高橋:
現地には行けないけどせめて自分の思いを届けたいとか、協賛者それぞれのストーリーがあるんですよね。

INUUNITED:
確かに、スタジアムに自分たちのサポートが一番わかりやすいかたちで、目に見えるということになります。その感覚は広告への協賛というやり方ならでは。広告の端っこの一部でも「俺のスタジアム」と言えるのはとても嬉しいです(笑)広告掲出以外の今後の活動、展望などはあるんでしょうか?

川野:
ジェフのユースやジュニアユースの子どもたちが使用するボールを寄贈するというアイデアがあります。何気なく使っている用具に「サポーターからの寄贈品」という属性がつくことで、普段からサポーターとのつながりというものを感じてもらえるんじゃないかなと。

プロジェクトのゴールとして設定してるのは、フクアリの全ての看板スペースが企業広告で埋まることですね。元々スタートは看板広告が減ったところからですから、全部埋まって、「僕たちの広告が必要なくなること」がゴールです。

高橋:
そうなったら喜んで千葉フェラインの看板外しますよ、ええ(笑)

 

千葉フェラインHP
http://www.chiba-verein.com/
Twitter
@chiba_verein

Photo courtesy of 千葉フェライン

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About Inuunited

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いぬゆな: ジェフユナイテッド市原・千葉サポーター。「あんまり他のサポーターが書かないことを書こう」と思ってブログを始めたらそこそこヒット。そこそこの文章量とそこそこの文章力には定評がある。

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