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本田のホルンが昇格&優勝。 日本人オーナーの欧州クラブはどうなったか

Image by Gettyimages
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日本代表MF本田圭佑のクラブオーナーであるSVホルン(オーストリア3部)の2部への昇格が決定し、さらにリーグ優勝を果たした。プロクラブの保有権を買収し、現役選手でありながらもクラブのトップを務めるという超異例のビジネスで昨年大きな話題を集めたが、オーナーとしての初年度で大きな結果を得ることに成功した。 

しかし、欧州で日本人がオーナーを務めるクラブが存在感を見せたのは、これが初めてのことではない。

 
グルノーブル・フット38(フランス)

 
 フランス屈指の学園都市として知られるグルノーブル。リヨン近郊の街であり、多くの大学や研究機関がここに本拠地を置いている。人口は15万人を超える程度であるが、知名度は非常に高い場所だ。

 1892年に設立されたSCグルノーブルは、1942年にプロへと転向したものの、後に資金不足で撤退。後に就任したピエール・ベール会長の意向によって1951年に再挑戦し、1960年に初めて1部へと昇格したという歴史を持つ。

 ところがその後は再び下部リーグへ。1972年には地域リーグまで転落するなど、長く苦しい時代を過ごした。1985年には若きユーリ・ジョルカエフが加入したりしたものの、結果に恵まれず、なかなか浮上することは出来なかった。

 変化の兆しが見えたのは1997年。グルノーブルの自治体がクラブを支援することを決め、複数のチームを合併させた。そうして生まれたのが、グルノーブル・フット38だ。この後CFA(4部)、ナショナル(3部)を制覇し、2001年に2部リーグまで駒を進めることに成功した。

 そして2004年。結果を出しながら赤字に苦しんでいたクラブの株式を過半数購入したのは、日本の株式会社インデックスだった。同社の渡辺和俊専務取締役がオーナーとなり、損失をカバーした上、後に大黒将志、梅崎司、伊藤翔を獲得。さらにキャプテン翼の作者でもある高橋陽一氏がマスコットを作成するなどして大きな話題を集めた。

 

 
 2007-08シーズン、メフメド・バズダレヴィッチ(現ボスニア・ヘルツェゴビナ代表監督)に率いられたチームは2部で3位となり、なんと45年ぶりのトップリーグ昇格を成し遂げたのだった。当然リーグ・アンでは苦戦が予想されていたのだが、若きソフィアヌ・フェグリやエースのナシーム・アクルール、後に名ボランチに成長するアレクシス・ロマオなどの活躍もあって、2008-09シーズンは13位という好成績を残したのである。

 ところが、凋落はここから始まった。2009年夏にサンテティエンヌから松井大輔を獲得するなどしてリーグ・アンの2年目に望んだが、なんと開幕から11連敗。結局このシーズンは5勝8分け25敗という成績で降格し、多くの主力選手がチームを去った。

 さらに、2010-11シーズンにはクラブに致命的な打撃になる事件が起こる。経営状況が悪化した株式会社インデックスからの投資が滞ったのだ。2011年1月には380万ユーロ(現在のレートでおよそ4.7億円)の赤字と120万ユーロ(現在のレートでおよそ1.5億円)の負債が明らかになり、グルノーブルはクラブ時代の存続すら危ぶまれることになった。

 そしてシーズン終了後、クラブは経営危機を乗り越えられず破産。プロ部門は解散することになり、5部への降格が言い渡されている。インデックスの方も2013年に日本で246億200万円の負債を抱えて破産した。

 
CEサバデル(スペイン)

 
 1903年に設立されたサバデルは、40年代と60年代、80年代にはプリメーラ(1部)リーグでもプレー。1968-69シーズンには歴史上最高となる4位という成績を収めている。

 その際にはUEFAカップの前身となるインターシティ・フェアーズカップにも出場したが、ベルギーのクルブ・ブルッヘに1回戦で敗れている。ただ、その他は主に2部から4部を行き来する立場だった。1988年に降格してからは一度も1部に足を踏み入れられず、1993年からは3部以下でのプレーを余儀なくされた。

 しかし、指宿洋史(現アルビレックス新潟)を擁した2010-11シーズンにセグンダB(3部)を制覇したことで2部昇格に成功。1年目は19位となったが、ビジャレアルBが降格処分を受けたことによって奇跡的な残留を果たす。2年目も16位と苦戦したが、その間にクラブでは大きな改革が起こっていた。2012-13シーズンの開幕前、日本の投資家グループがクラブの株式を取得し、実業家の坂本圭介氏がオーナーに就任したのだ。 

 
 また、サバデルにもキャプテン翼でお馴染みの高橋陽一氏がイメージキャラクター『Cesc Hiroshi』を描き上げている。 

 
 さらに、FC東京から田邉草民、『The Chance』(Nikeが主催する世界的スカウトプロジェクト)で合格を勝ち取った木下稜介を獲得して話題を集めた。 
 

 
 2013-14シーズンはその結果9位と成績を残すも、その間にはハビエル・サラメロ監督が解任されており、ミケル・オルモ氏がアシスタントから引き上げられるという事件もあった。そして2014-15シーズンは開幕から不調に陥り、ミケル・オルモは14日で解任。11月に雇われたアレックス・ガルシアも8試合で辞任し、最終的には3部降格という結果になっている。

 この降格によってチームは大きな経済的打撃を受けた。2015年7月に坂本圭介氏はクラブの株式を売却したことを発表し、日本人のフロントも取締役会から去った。日本の投資家グループは今年解散しており、サバデルの経営を引き継いだ幹部たちも4月に「給与が支払えない状況にある」と発表。今後のクラブの状況が心配されている。

 

 このように、日本人がオーナーを務めた欧州クラブの動向はさまざま。欧州のみならず、「カンボジアンタイガーFC(カンボジア1部)」を運営する株式会社フォワードの代表、加藤明拓氏が、ナイジェリアの5部リーグ(日本で言う関東1部リーグ)に新規参入する「イガンムFC(正式名称:Iganmu FC)」へ出資し、共同オーナーに就任したことも記憶に新しい。

 日本人選手、そして日本人監督、さらには日本人オーナーの世界での活躍も気になるところだ。

 

Reproduced from Qoly
Edited by DEAR Magazine

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