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Jリーグのユニフォーム、フジロックで着続けて12年。

今年で20周年を迎えた日本最大の音楽フェス、フジロックフェスティバル。毎年雨が降ることで有名なフジロックが、奇跡の3日間快晴のもと開催された。

そんなフジロックでは、毎年決まった時間、決まった場所に、サッカーユニフォームを着たフジロッカーが続々と姿を現す。フジロック好きのあいだではちょっと有名なイベント、それが「フジロック Jリーグ苗場支部(以下苗場支部)」だ。

J1リーグからJ2、J3、JFL、ひいては地域リーグまで、自分が応援するチームのユニフォームを着たサッカーファンがオアシスエリアに集まる。

2005年に始まり、フジロック公認のイベントでもある苗場支部は、今年も約230人のサッカーファンが集まり、フジロックの中心でそれぞれのチーム愛を盛大に叫んだ。

フェアプレー入場からの乾杯を合図に、各チームそれぞれのスピーチやチャント(応援歌)熱唱、恒例の浦和レッズサポーターへの大ブーイング、アルビレックス新潟サポーターのハッピーターンはじめ名物・クラブスポンサーの商品撒き。ライバルチームや主力選手を引き抜いたチームへのヤジ、自虐ネタの応酬。普段は対戦相手のサポーターたちが、これぞフジロック、といわんばかりのピースフルな雰囲気を作り出す。

そんな苗場支部を主催するのが、Jリーグサポーターの「ヘイッキ」だ。熱烈なサッカーファンであると同時に、苗場でのフジロックが始まった1999年から16回目、14回連続の参戦という超がつくフジロックファン。そんな彼が、音楽好きのJリーグファンが集まる空間を、メガホン片手に12年間作り続けているのはなぜなのか。 

 

音楽、サッカー、ときどき野球。価値観を笑顔で受け止め会う場所 

 

Jリーグ苗場支部をはじめた張本人である「ヘイッキ」
Jリーグ苗場支部をはじめた張本人である「ヘイッキ」

 

ー苗場支部を始めたきっかけは何ですか?

僕は苗場開催の最初の年、1999年からフジロックに行き出したんですけど、いつからだったっけな…2005年とかからはじめたと思います。

海外クラブとか日本代表のユニフォームを着たひとはいたんですけど、Jリーグは全然いなくて。Jリーグのユニフォームを着ている人たちで乾杯できたらいいなぁと思って始めたのがきっかけです。

最初は山頂で東西対抗フットサルやってたんです。それこそmixiの時代(Jリーグ苗場支部はmixiのコミュニティから始まった)。10〜15人くらいで。最初自分でフジロックでユニフォーム着てるひとを見つけては直接ナンパして、誘ったりしてましたね(笑)。

 
ーただでさえフジロックは荷物が多くなるので、準備や当日の進行とかけっこう大変じゃないですか?

いまはもう慣れたもんですね。シャーレとか、カップ、弾幕を大きい袋に入れて、それをフジ用に年に一回ひっぱり出してくる。いまは協力してくれる方々も増えて、僕はやることそこまで多くないんですよ(笑)

 
ー各クラブごとにチャントを歌いますが、チャントはどんなものが多いですか?

相手のサポーターの耳に馴染みのあるものが多いですね。スタジアムのアウェイスタンドから聞こえるチャントってアウェイサポーターも結構覚えてて、ああいうの実は自分もやりたいんですよ。

でもスタジアムではもちろんできないから、鉄板のチャントとかホーム・アウェイ関係なく盛り上がるんです。今日だってガンバ大阪サポがセレッソ大阪のチャント歌ってましたしね(笑)。

ープログラムの中に苗場支部で知り合って結婚したかたの胴上げもありましたけど、毎年誕生してるんですか?

誰かしら誕生してますね(笑)。結婚だけじゃなくて、付き合ったとかも。なので、僕は苗場支部のこと冗談で、「婚活サークルですよ!」っていってます(笑)。 

 
ー印象的なできごととか、やっててよかったと思うことってありますか?

去年飛び入りで演者のひとが出て歌ってくれたんですけど、あれは盛り上がりましたね。

他にもすごく沢山あるんですけど、やっぱり全国に沢山の繋がりが生まれたことです。「ベガルタのあいつだ!」とか、「札幌のあの姉さんだ!」とかフジロックを歩いて知り合いに会える。

アウェー観戦に行ったら、苗場支部で知り合ったサポーターたちとご飯を食べに行ったりとか。違うクラブのサポーター同士でも友達になってくれたり。そんなウェブ的に実際の人間が繋がっている様子を見ると本当に嬉しくなります。

スタジアムでホームのサポーターが、アウェイサポーターに密輸したりとか(笑)

 
ー密輸って何ですか?(笑)

スタジアムによってはホームとアウェイサポーター用の席ってきっちり区切られてて、アウェイサポーターはホーム側に立ち入れないことがあるんです。

スタグル(スタジアムグルメ)が美味しいことで有名なスタジアムもあるんですけど、アウェイサポーターはその恩恵に授かれないことがある。そんなときに、ホーム側にいる友達に買ってきてもらって柵越しに受け渡しするんです(笑)。

ーそういうのって苗場支部の雰囲気にも出てますよね。苗場支部の参加者はどういうサポーターのかたが多いんでしょうか?

がっつりスタジアムに試合を観に行ってる、熱心なサポーターさんが割と多いんですけど、他サポーターとも和気あいあいというか、相手へのリスペクトを欠かないひとたちが多いですね。

Jリーグのサポーターってすごく多種多様で、チームによって全然違うからすごくおもしろいんです。

松本山雅FCみたいにすごく熱狂的だけど、老若男女がわっと集まってアットホームなチームも理想的だし、僕はFC東京、柏(レイソル)のサポーターも好きなんですけど、音楽センスがよかったり、すこし過激に映るんだけど相手をリスペクトしていることが前提にあって、ギリギリの一線は超えないユーモアでゲラゲラ笑うのも好きで。

 
ー苗場支部には野球ファンもいましたよね(笑)。自然と集まるようになったんですか?

あれは、まだ50人くらいの規模でやってるときに、広島カープのユニフォーム着てたひとたちが覗いてたんですよ。そのときに、「野球ファンも何かいってくださいよ!」ってトラメガ(トランジスタメガホン)渡したのはじまりですね。 

「プロ野球苗場支部もないことだし、野球ファンもくればいいじゃん!」っていい続けてたら、少しづつ野球ファンも目立ってくるようになりました(笑)。

そのとき西武ファンのお姉さんがいて、「チームの主役はチームじゃない、地域だ!」って吠えたことがあったんですよ。そしたら、「うわぁ、野球ファンのお姉さんまじかっけぇ(笑)」ってすごい盛り上がって、そこから来てくれるようになりました(笑)。

ーJリーグファンを煽ってみんなで大笑いしてるのが、素晴らしいなと思った瞬間でした。

サッカーファンにヒール役をわざと買ってくれて、すごく苗場支部の雰囲気を作ってくれるスポーツファンのひとりです。

ちなみに、こういうところに出てきてるひとって、セ・リーグよりパ・リーグのひとが圧倒的に多くて、そういうのもカラー出てていいなぁと思います。J2のチームのサポーターの当事者意識が高いのと似てますよね(笑)。 

次ページ(2/2):「Jリーグは最高のローカルコンテンツ。地元は一生変わらないから

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About Takuya Wada

Takuya Wada
和田拓也: DEAR Magazine編集長。バンドマンやらシステムエンジニアやら世界1周を経て、NYのデジタルマガジン、HEAPS編集部でインターンシップとして勤務し、企画から取材、執筆を担当する。その後、DEAR Magazineを立ち上げる。カレーと揚げ物が3度の飯より好き。

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