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【密着】五輪ナイジェリア代表支援金、高須院長が「リオで手渡し」を選んだ理由

高須クリニック院長である高須先生のナイジェリア代表支援について、完全に当事者として協力をすることとなったDEAR Magazine編集部。

Episode1

Episode2

高須先生が選んだ「ナイジェリア大使館に2000万円持っていく」瞬間に、私たちDEAR Magazineは、メディアとして同行することとなった。そして、最終的に思わぬ展開になる。

 
メディアを利用する「アイデア」

 
 高須先生が大使館に寄付金を渡すという選択をしたとき、BBC記者が高須先生に提案した方式は、大使館で寄付金を渡すところを写真や動画を共有し、BBCとディア・マガジンで取り上げることだった。

金額がメディアに記載されていて、証拠となる写真、および報道資料があれば、寄付金が選手たちにきちんと届けられる可能性を高めることができる。

弊メディアは現状規模的に大きくないが、日本での影響力はそこまで重要視されていない。大切なのは、ナイジェリアの人々が目にすることだ。そういった観点から見れば、BBC以上の適任者はいない。実際、大使館でも「BBCのおかげで、我々も高須先生の支援については聞いている。現地でも凄い騒ぎだよ」と教えてくれた。

 
いざナイジェリア大使館へ。2000万(現金)とともに

 
 選手、スタッフとのテレビ電話での通話を終え、高須院長は現金2000万円を持参してナイジェリア大使館を訪れた。ちなみに、ここで持参されていた2000万円は、水色の可愛らしい、「奉行i10シリーズ」の紙袋に入っていた。後にこれを知ったとき、私は卒倒しそうになった。

 大使館の方々は、驚きと喜びと共に高須先生とDEAR Magazineを出迎えてくれた。そして、すぐに受け渡し、という訳ではなく、一度ディスカッションをさせてほしい、ということだった。

対応してくださった臨時大使はじめ、大使館職員の方々は、日本のナイジェリアに対する様々な援助やお互いの友好関係に感謝の意を述べ、ブラジル大使館、チームと連絡を取り、方法を模索してくれるという。

高須院長は、逆境にも関わらず強敵を撃破していくナイジェリア代表に感銘を受け、寄付の申し入れを是非受け入れて欲しいと話した。このとき高須院長が話した英語は、決して流暢なものではなかった。しかし話を聞く職員たちの顔を見れば、一番大事なことが伝わっているのは一目瞭然だった。

 しかし実際問題、やはり彼らは公的なルール(主に承認プロセス)に従う必要があり、この場で「はい受け取りました」はハードルがかなり高いそうだ。

これに対し高須先生は、日本の相撲の「タニマチ」のシステムを引き合いに、今回のナイジェリア代表への支援は政府を通してではなく、個人のファンからの援助としてプレゼントしたい、ということだった。

今年の初頭から、ナイジェリア政府は歳入出の透明性を強化するために、新しいシステムへと移行した。

その関係で、政府を通した金銭のやりとりは、必ずこのシステムを通す事になってしまうそうだ。つまり、きちんとした証明書(領収書)を大使館で発行するということは、新システム(政府)を通すということだ。しかしこれは、あまり望ましいものではない。

 一方で、現地の選手たちのこの時点での要望は、ナイジェリア政府を挟まず、大使館同士でのやりとりを行い、選手または関係者個人への直接の入金だった。

ここまでのやりとりで、高須先生の一番の要望は、どんな形でもいいから、2日後のドイツ戦前にモチベーションを上げてあげたい、ということだった。

ここでもうおわかりかもしれないが、私は完全に交渉のテーブルに立ってしまっていた。もうどう関わるべきとか考えるのはやめにして、ひとまず会議室に集まった(公人の)方々、高須先生と共に最善の方法を考えることに集中した。

 最終的に、今回はベストな方法への尽力を大使館の職員の方々が約束してくれ、政府に承認を経たのちに、対応してくれることに。大使館の方々は公人であるので、もちろん政府のルールに従わなくてはならない。現地はそのとき早朝であったため、私たちはひとまずその回答を待つことにし、持参した2000万円とともに一旦出直すこととなった。

 余談だが、大使館を出る際に突如大雨が襲ったため、車で高須先生の滞在するホテルに戻ることになったが、手配された車がまさかの外交官車輌だった。

出迎えたドアマンの外交官車輌に驚く表情を、私は二度と忘れない。

 
鳴らない電話

 
来ない。連絡が。

現地はもう深夜になってしまい、大使館職員も帰宅してしまったという。

これはもう今日中には連絡がこないぞということで、明日(17日)をデッドラインにすることにして、その日は解散した。

 

手渡し決定。リオデジャネイロで

 
 仮眠を取って翌朝起きると、すぐに高須先生から電話がかかってきた(この状況についてはもういちいち言及はしない)。

「選手たちに直接持っていく」とのことだった。高須先生によると、この時点で政府からの回答がない、ということだった。

なぜ直接持っていくのか。まずこの日のうちに大使館で手続きを済ませお金を託すことができない、ないし回答がないと選手へのお金の分配自体が危うくなる。

「代表が解散してしまう」というデッドラインがあるからだ。大会終了後に選手が各国に散り散りになると、お金が選手にきちんと分配されるかが怪しくなってしまう。実際に、選手たちの中ではこのチーム解散に対する不安がかなりあったようだ。

準決勝は18日(このとき17日)。そこで勝敗に関わらず21日に試合(決勝 or 3位決定戦)がある。先生は寄付として2000万円+メダル獲得時に選手それぞれにボーナス(金メダル300万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円)を手渡しすることを約束していたので、結果的にリオへ飛ぶことは決まっている。それなら2000万円はそこで一緒に渡してしまおうということだった。

そしてこのとき高須先生が最も優先度を高く置いていたのが、「ドイツ戦に向けて選手を鼓舞する」ことだった。

そんな中、高須先生が選択した選手を鼓舞する方法は、「もう直接持っていくから、頑張れ」というメッセージを自身で発し、それを選手たちに届けることだった。

先生は大使館の中で撮影を希望しており、大使館にはその旨はすでに伝えてあるらしいが、撮影許可の判断が出る(撮影許可ではない)のも夕方だということだった。

高須先生は、「じゃあ大使館の前で撮る」ということで、私は至急高須先生の滞在するホテルに向かった。

私たちは大使館の前で撮影をしライブ配信した。私はそのままオフィスに戻り、ビデオメッセージの編集にとりかかった。

 そして編集中に再度先生から連絡が。

大使館の撮影許可が取れ、再度大使館の中でビデオメッセージを撮りたいということだった。私はすぐに大使館に直行し、選手激励用のビデオを撮影した。そして最終的に撮影したメッセージがこれだ。

私はこれをやりとりしているチームスタッフに渡した。選手は相当に喜んだらしく、後ほど感謝のメッセージを送る、ということだった。「ドイツ戦に向けて選手を鼓舞する」という目標は達成できた。

ナイジェリア大使館でポケモンGOのスキルを見せつける高須先生
ナイジェリア大使館でポケモンGOのスキルを見せつける高須先生

 
結果としてナイジェリアはドイツに勝つことができなかったが、21日には3位決定戦が行われる。ナイジェリア代表一体どのような結末を迎えるのだろうか。

そしてこの試合を見届け、選手に支援金を渡すために高須先生はブラジルへ飛ぶ。

そう、そしてこの私も。

続く

Photos by Takuya Wada

 

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About Takuya Wada

Takuya Wada
和田拓也: DEAR Magazine編集長。バンドマンやらシステムエンジニアやら世界1周を経て、NYのデジタルマガジン、HEAPS編集部でインターンシップとして勤務し、企画から取材、執筆を担当する。その後、DEAR Magazineを立ち上げる。カレーと揚げ物が3度の飯より好き。

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