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「知っているようで知らない」隣人、オーストラリア代表。W杯アジア予選最大のライバルを知ろう

Photo on top credit: Nasya Bahfen via VisualHunt / CC BY-ND

 

アジアサッカーにおいて、常に強敵として日本代表に立ちはだかるオーストラリア代表。2018年にロシアで開催されるワールドカップへ向けた最終予選でも、日本はオーストラリアと本大会への出場権を得るために闘う。

AFCアジアカップ2015。日本代表がPK戦の末にUAEに敗れ、失意の中で去った大会において栄冠に輝いたのはオーストラリア代表だったが、当時ハビエル・アギーレ元監督の解任と重なったことで、日本で彼らの戴冠が大きく取り上げられることは無かった。

今回は、アジア予選における最大のライバルでありながら、「知っているようで知らない」隣人、オーストラリア代表の現状を探ろう。

<1ページ目>
・オーストラリア代表のこれまで
・プレーヤー紹介:新世代の台頭著しい、守備陣
・プレーヤー紹介:国内組のタレントと海外組の主軸が共存する中盤
<2ページ目>
・プレーヤー紹介:絶対的エースが牽引する前線
・プレーヤー紹介:日本代表が警戒すべき、要注目の2タレント

 

日本の宿敵、オーストラリア代表が辿ってきた道のり

 

 雄大な山脈の様に、攻めを静かに封じ込める。アジアで突出した守備力を誇っていた頃のオーストラリア代表は、ヨーロッパに匹敵する身体能力を最大限に生かす厄介なチームだった。

抜群のフィジカルを誇った対人の鬼ルーカス・ニールがロングボールを次々と弾き返し、レンジャーズFCやニューカッスル・ユナイテッドでも活躍した頭脳派クレイグ・ムーアがチームを統率する。両サイドにはフェイエノールトで活躍した本格派RSBブレット・エマートンと、様々なポジションをこなせるスコット・チッパーフィールド。

中央を巨漢DFとダーティな仕事もこなせるMFが埋め、前線は一瞬で相手の喉を食いちぎるようなカウンターに備える。大型FWマーク・ビドゥカに、スピードが持ち味のハリー・キューエル。過去の歴史上でもアジア最高レベルの2トップが、何度となく日本守備陣にも襲い掛かった。しかし、彼らの勢いが近年衰えていたのは事実だ。

 日本のメディアに「老兵」と揶揄されたことすらあるオセアニア王者は、静かに世代交代を進めてきた。黄金世代を知る絶対的エース、ティム・ケーヒルは最後の大舞台に燃え、谷間の世代において孤軍奮闘したミル・ジェディナックが中盤を引き締める。

ベガルタ仙台では実力を発揮できなかったものの、母国では最も期待される指導者であるグラハム・アーノルドが作り上げたチームは、フィジカルに頼るだけではない。高い位置から守備を仕掛け、ボールを繋ぐことを好む。平均年齢26.3歳という若きチームは、欧州の潮流に合わせて変化を受け入れた。では、各ポジションの知られざる実力者たちを紹介していこう。

 

新世代の台頭著しい、守備陣

 

 黄金世代では最大の強みとなっていたCBの選手層が最大の課題となる一方、SBが人材の宝庫になりつつあるのがオーストラリア代表の守備陣だ。最後尾から守備を統率するGKも、欧州の最前線で戦っている。

 

マシュー・ライアン(Mathew Ryan) / Age: 24 / GK

 スペインリーグのバレンシアFCに所属するマシュー・ライアンは、現在アジアで最も評価されているGKと言えるだろう。プレミアリーグで活躍し、日本代表の決定機を何度となく摘み取り続けた名GKマーク・シュウォーツァーの後継者だ。欧州の舞台にも頻繁に現れるスペインの強豪、バレンシアでは継続的に出場機会を得ている訳ではないが、ベルギーリーグで最優秀選手に選ばれた実力は伊達ではない。

手足の長さを武器にした195cmのシュウォーツァーと比べると、184cmという身長は小柄。しかし、細かなステップと軽やかなボディコントロールで難しいボールにも反応するプレーは絶品だ。加速力もあり、11で相手の間合いを潰すことにも長けたスタイルはレアル・マドリードのケイラー・ナバスを思い起こさせる。年齢も若く、日本代表の前にこれからも立ち塞がることになるだろう。

 

アレックス・ガーズバック / Age: 18 / LSB

 17歳でデビューを果たすと、シドニーFCでは主軸に定着。2016年の冬にノルウェーの強豪ローゼンボリに加入。そこでも出番を掴み始めている新星こそ、アレックス・ガーズバックだ。いきなり欧州トップリーグの強豪に加入するのではなく、欧州の舞台も経験出来る北欧のクラブを欧州挑戦の足掛かりに選んだところが、代理人の慧眼と言えるだろう。チェルシー移籍自体も選択肢にはありながら、成長機会を考慮してドイツ行きを選んだ武藤にも重なるところがある。

機動力に優れ、全速力で動きながら正確で強い縦パスを当てることが出来ることが特徴。守備においても、敏捷性を生かした球際でのプレーが目立つ。18歳ながら一対一の競り合いも苦にしない。新世代の旗手は代表のレギュラーに定着することを、虎視眈々と狙う。オーストラリアで最も将来を嘱望される選手の1人であることは間違いない。

 

ブラッド・スミス / Age: 22 / LSB, LSH

 ユルゲン・クロップが就任したリバプールにおいても、プレー機会を与えられていた左SB。エディ・ハウに評価され、夏にボーンマスへと引き抜かれた。

ロベルト・カルロスを理想の選手に挙げる彼は、一列前でもプレー出来る攻撃的な選手だ。前線まで一気に駆け上がる勢いのあるプレーを得意とし、迷いなく縦に仕掛ける思い切りの良さが魅力だ。

守備面のポジショニングや組み立てでは粗いものもあるが、フィジカルの強さを生かした11の守備対応も面白い。物怖じしない22歳は、攻めのアクセントとして飛び出すプレーを虎視眈々と狙う。現状、左サイドバックのレギュラーとして活躍中。

 

ベイリー・ライト / Age: 23 / RSB, CB, LSB

 正統派のオーストラリアらしいCB、といえばイングランド2部でレギュラーとして活躍するベイリー・ライトだ。DFラインであればどこでもこなせる万能選手ではあるが、本来の主戦場は中央。世界中でも身体能力自慢が揃うチャンピオンシップにおいて、相手FWとまともに渡り合う実力は確かなものだ。フィジカルバトルを挑めば、相手選手は無事では済まない。

英国下部リーグでの出場は180試合を超える23歳は、若手DFという枠では収まらない。彼が積んできた経験は、恐らく日本の若手DFとは比べものにならないはずだ。

 

国内組が誇るタレントと、海外で経験を積む主軸が共存する中盤

 

 クリスタル・パレスで堂々と中盤を制圧する巨漢MFミル・ジェディナックを備える中盤でも、チーム内での競争が激化している。特にアタッカーのポジションに若手が多く、スーパーサブから一気に主力となるシンデレラ・ボーイが現れてきても不思議ではない。

 

マッシモ・ルオンゴ / Age: 23歳 / CMF, DMF, OMF

 22歳にして2015年アジアカップMVPを掴んだトッテナム・ホットスパーズ育ちのMFは、移籍先のQPRでも輝きを放ち続けている。QPRでは攻撃力を武器に、トップ下として起用されることも。

独特のタイミングを武器とするプレイヤーとして知られる彼は、中盤の中央からドリブルで持ち運ぶようなプレーを特徴とする。プレスを浴びやすい密集地をスルスルと抜けていくコース選びのスキルは、現レアル・マドリードのマテオ・コバチッチを彷彿とさせる。

パススキル、得点能力も兼ね備えるオーストラリアの「影のエース」はFWに警戒が集まれば集まるほど決定的な仕事をこなす。ポゼッションを志向する現代表において、前線とDFラインを絶妙なポジショニングで繋ぐ「生命線」だ。23歳にして英国下部リーグでは出場試合が130試合に迫る彼も、ヨーロッパの厳しさを知る男だ。

 

ジャクソン・アーヴァイン / Age: 23 / CMF, DMF

 今季10試合で5ゴール。最もノっているMFが、イングランド2部のバートン・アルビオンでプレーするジャクソン・アーヴァインだ。スコットランドのアンダー代表でも活躍した彼は、守備的な中盤にも関わらず今季ゴールを連発。華麗なミドルシュートから打点の高いヘディングまで、FWの様にゴールを量産中だ。重戦車のようなオーバーラップと球際の強さを武器とする彼も、層の厚い中盤で虎視眈々と出番を狙う。

次ページ(2/2):絶対的エースの牽引する前線 & 最注目プレーヤー

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About yuukikouhei

yuukikouhei
結城康平: DEAR Magazine 編集部で「KNOW」カテゴリ中心に編集、企画担当。やりたい事だけは沢山あるので、Dear Magazineと共に色々なことに挑戦していきたい。ジャンル問わずなんでも書く系。サッカー批評、Qolyなどに寄稿経験有り。今一番欲しいものは、新しいノートパソコンと可愛い小動物を飼える環境。好きなアーティストはエジンバラ出身のBlue Rose Code。

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