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【世界一周】フットボール × 平和の旅。連載 第0回:大学生/倉 夏海


(写真左:山口 佳祐 中央:倉 夏海)

2月、ある大学生が世界一周の旅に出発した。長崎市と広島市の公認を受け、「フットボール」×「平和」というテーマで出かけたのは、福岡の大学に通う倉夏海(くら・なつみ)。高校の同級生である山口佳祐と共に、3ヶ月間、約17ヶ国を回る。なでしこリーグ、福岡J・アンクラスのユースチームの監督を務め、サッカー指導者を目指す若者でもある彼には、この3ヶ月を通して、世界はどのように映るのだろう。DEAR Magazineでは、いまの彼にしか感じることができないことを、連載で届けてもらう。今回は第0回というかたちで、倉にインタビューを行った。

11時02分になっても、誰も気づかない

ー今回なぜ、「フットボール」×「平和」というテーマで世界一周に出ようと思ったのでしょうか?

単純に、これまで写真や映像でしか見たことがなかったものを実際にみてみたい、というところが純粋な動機ではあるんですが、ただ旅行をするよりも、何かテーマを決めて回ってみたいと思ったんです。僕はずっとサッカーに関わってきたので、それならサッカーで何かできることはないか考えたのがきっかけです。

ーそこから、「平和」が加わったのはなぜでしょうか?

一番のきっかけは、大学生1年生のときに、はじめて長崎以外の場所で8月9日を過ごしたときのことでした。原爆が長崎市に投下された午前11時02分、周りに何の変化もなかったんです。僕は長崎県出身なのですが、それがすごいショックで。

ーこどものころの記憶ですが、長崎であればかならずサイレンが鳴って、黙祷をしますよね。(*筆者も長崎県出身)

みんなスマホをいじって、おしゃべりをしていて。あぁこうやって忘れていくんだって。翌年の8月9日、(指導をする)アンクラスのミーティングで今日が何の日かを聞いた時、ほとんどの子がわからなかった。

僕らは子どものころから、家でのおじいちゃんの話や、学校での被曝者の方がたの講話などで、戦争と原爆について学ぶことが多かったので、すごく違和感を覚えたんです。

ー確かに、長崎では「平和集会」という、全校生徒が集まって戦争について学ぶ機会が、終戦記念日や原爆投下の日にありました。やはりこどもにとってはかなりショッキングな内容な内容だったんですが、絶対に必要なものだったといまでも思います。

僕は祖父、祖母が被曝しているので被曝3世で、被曝の体験講話を聞いた最後の世代でもあるんですが、戦争、原爆について語れるひとが本当に少なくなっていく中で、これを今後誰が伝えていくのか?とすごく不安になりました。こんな状況でいいのかと危機感を覚えて、何か行動に移さなきゃいけないと思ったんです。

この旅で自分自身が何か劇的に変わるとは思ってはないんですが、こういった行動が同世代に向けて、何かが少しでも変わるきっかけになればと思い、今回の「平和」というテーマになりました。

 

倉たちは、長崎市、広島市の公認や、母校である長崎日大サッカー部からサッカーボールの提供を受け旅を続けている。

世界の共通言語、サッカー

ー実際にどのような旅をしていくのでしょうか?

現地の方がたに、長崎のことを知ってほしいということもあるんですが、そのまえに現地の実情を知る旅にしたいと思っています。

そこに使うのがサッカーボールです。僕らは現地の言語を話せませんが、サッカーを通せば世界中誰とでも仲良くなることができます。サッカーを一緒にやって仲良くなって、最後にボールをプレゼントする。

でもボールを渡して終わりだと一方通行。サッカーをきっかけにして、それぞれの国の方がたと実際にお話しして実情を知って、そのうえで長崎のことを知ってもらいたいです。自分が知ってほしいことを一方的に伝えて、表面上だけ交流したつもりにならないようにしようと思っています。

 


 出発から2週間が経ち、倉たちは現在インドにいる。価値観が覆された、かはわからないが、僕が訪れた国でもっともカオスで、笑うしかなかったのがこの国だ。「山口とともに、
将来サッカーチームを作る」夢を持つ彼は、いま何を感じているんだろう。それはいまの僕にはきっと感じることのできないことだ。次回からは、彼自身に彼の旅を、感じたままに語ってもらおうと思う。

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About Takuya Wada

Takuya Wada
和田拓也: DEAR Magazine編集長。バンドマンやらシステムエンジニアやら世界1周を経て、NYのデジタルマガジン、HEAPS編集部でインターンシップとして勤務し、企画から取材、執筆を担当する。その後、DEAR Magazineを立ち上げる。カレーと揚げ物が3度の飯より好き。

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