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「大学生」「地域」「スポーツクラブ」の幸せな関係?Jリーグクラブの「女子マネ」に話を聞いてきた

「選手の頑張ってる姿を見ると、もう涙が出てきちゃって」

 日本のプロサッカーリーグであるJリーグのとあるクラブにいる、「応援女子マネージャー」をご存知だろうか。プレーヤーがプレーに集中できるように様々なサポートをしてくれるマネージャーには、特に学生時代に「部活」を経験している方には馴染み深く、頭が上がらないというひとも多いのではないだろうか。

ただこの場合は「プロクラブ」の応援女子マネージャー。これってちょっと珍しい。プロクラブの女子マネの仕事って、いったいどんな仕事なんだろう?実際に話を聞いてきた。

 

女子マネージャー戦国時代?

 

 J3に所属するプロサッカークラブ、ブラウウブリッツ秋田(以下、BB秋田)で”ブラウブリッツ秋田応援女子マネージャー”を務めるのは荒川理奈(あらかわ りな)さん。

「選手の頑張ってる姿を見ると、もう涙が出てきちゃって」

そう話す荒川さんは、平日は大学で授業を受け、週末はスタジアムでチームのために奔走する。どこかの芸能事務所に所属しているわけでもなく、自身でいうように「普通の大学生」だ。

 Jリーグで「女子マネージャー」といえば、初代Jリーグ女子マネージャーの足立梨花(あだち りか)さんや、現(2代目)Jリーグ女子マネージャーの佐藤美希(さとう みき)さんを思い浮かべる方が多いかもしれない。その活動内容は、メディアでのJリーグのPRや、Jリーグ関連のイベントに出演することなど多岐にわたる。

荒川さんの活動内容も、基本的には同じ。

異なるのは、それが一つのチームに対しての活動になるため、より深くチームにコミットできるということ。ここに注目して、ディビジョンを問わず、様々なチームが女子マネージャーを起用しつつある。

BB秋田も今年の2月、「応援女子マネージャー」として荒川さんを起用した。

「地元じゃない秋田」を盛り上げたい

「なにか秋田のためにできることはないかなあ、と思ってて」

秋田県の出身ではない荒川さんだが、学生生活を通して「いろんな人にお世話になった」。そんな秋田との関係を「大学で過ごす4年間の付き合いだけで良いのか」と悩んだ。青春の日々を過ごすこの地になにか恩返しはできないか、なにか貢献できることはないのか、と。

Photo by Footysub

 

そんなときに転機は訪れた。知人を通して、BB秋田にコンタクトが取れると分かったのだ。

「これだ!」と思った。

「先輩にスタジアムに誘われたのがきっかけで」サッカーにハマった荒川さん。あれよという間にのめり込み、旅先でも時間があれば観戦に出かけるまでに。もちろん、BB秋田の存在は知っていた。

 

サッカーを通して、秋田に貢献できるかもしれない。思い立ったが吉日。すぐに知人の紹介を経てクラブにコンタクトを取り、思いの丈をぶつけた。その結果、クラブから応援女子マネージャーへの就任を打診されたのが「プロクラブの女子マネ」となったきっかけだ。

地域の小学校での食育活動や少年サッカークラブへの訪問活動、町の清掃活動など、サッカーを通して地域へのアプローチを多方面から試みているBB秋田。女子マネージャー起用についても、BB秋田・広報戦略部の齊藤康二(さいとう こうじ)さんは、

「ちょうどチームとして入場者数を増やしたいという思いもあって。話し合いの末に決まりました」と話す。

「彼女自身がとても意欲的だったので、就任までは結構早かったですね。あと、美人だったので」

「いやいや……」と謙遜する荒川さんだが、秋田市の観光PRのためのポスター、そのモデルに選ばれていることからも分かるように、美人でした。

 

美人でした!!!

 

ゴール裏の女子マネ

 

Photo courtesy of ブラウブリッツ秋田
Photo courtesy of BLAUBLITZ AKITA

 

「いつもゴール裏に居るんです。元々ゴール裏が好きで。体育会系なので、大きい声を出すのも苦じゃなくって」

と話すように、荒川さんの定位置はベンチではなくゴール裏だ。ゴール裏はそのチームの聖域。なんというか、結構「ガチ」な場所ので、女性にとっては入りづらい場所かもしれない。そこで飛んで跳ねてを繰り返し、熱狂的なサポーターに負けず、チームを鼓舞する荒川さん。

「キツイですけれど、でも選手はもっとキツイわけで。広いフィールドで戦っている人たちを見たら……跳ばずにはいられないですよね!わたしだけ陰で涼んでられないです」

彼女は「応援女子マネージャー」であり、コアな「サポーター」でもあるよう。「仕事」という意識はいい意味であまりないのかもしれない。

また「チームをPRするという役目も担ってもらっているので」という齊藤さんの言葉に、BB秋田と、荒川さんの二人三脚の連帯感が見て取れる。

Photo by Footysub

 

 女子マネージャーとしての「内」からの視点と、サポーターとしての「外」からの視点を併せ持つ荒川さん。齊藤さんがいう「荒川さんの目線だからこそ気づかされたことがあって」という出来事があった。

これは7月末にホームで行われた、対藤枝MYFC戦でのスタジアム入りを動画に収めたもの。

「私だったら、スタジアムに行けない日に選手が見れたらテンション上がるなあって思って」と荒川さんがTwitterに投稿したところ、予想以上に良い反応が返ってきたそうだ。

Photo by Footysub

 

「あの光景って、クラブ側からすると当たり前ではあるんですけれど、そこに注目してもらって、ああ、そういった視点があるんだなって気付かせてくれたんです」と齊藤さん。

「今度は角度を変えて撮ろうと思ってます」と彼女はいっていたが、その後も動画は継続的にアップ中のよう。

「スタッフさんや選手たちの頑張りを見てると、私も頑張ろうって思いますね」

チーム内外の事情を把握し、独自の視点を持ってチームに貢献する荒川さんの存在は、BB秋田にとって、他チームにはない強みであるのかもしれない。

 

大学生、スポーツクラブ、地域の幸せな関係

 

 BB秋田のホームスタジアムである、あきぎんスタジアムの周辺に広がる風景は、どこか親しみやすさを感じさせる。

チームスタッフとサポーターが調子はどう? なんて気軽に会話をして、その横では選手と子供たちが遊んでいる。イケメンで人気の選手に、奥様方がきゃっきゃっしている。

「他チームのサポーターに羨ましいっていわれました」と、ボランティアスタッフを務める女性が教えてくれた。

 ゴール裏でコールリーダーを務める、佐藤篤(さとう あつし)さんは「他のサポーターにはゆるいって思われるかもしれないけれど」と話すが、この牧歌的な雰囲気が、チームの一体感の源なのだろう。

そんなチームだから、荒川さんの存在もすんなりと受け入れられた。

「親しみやすくて、彼女のファンになってサポーターになる人もいます」

「ユースの試合にも来てくれて、すごいなって」

「形だけじゃない、本当の応援女子マネージャーですよね」

これはインタビューの翌日に行われた、天皇杯秋田県予選決勝を観戦しに来ていたサポーターの皆さんに聞いた「荒川さん評」である。サポーターとの関係も上々なよう。

ここまでチームに溶け込めたのは、彼女自身の快活さや、チームへの熱意にももちろんその要因はあるのだろうが、この地域、このチーム、そして荒川さんだからこそ築けた関係なのではないだろうか。

 女子マネージャーの存在意義を、荒川さんは「キッカケ作りですね」という。

「チームとコラボした商品を全部買い占めて、売ってたスーパーには悪いんですけれど(笑)、友達に配って、じゃあ観に行こうとかなったりすると、この活動やってて良かったなって思います」

誰かに誘われてとか、ほんの些細なあのキッカケ。あのときスタジアムに行ったがためにおれは、わたしは、なんて感覚。いまではおらが町の熱狂的なサポーターも、必ず覚えがあるはずだ。

Photo by Footysub

 

「私の活動を通して新規の方が来てくれたときはすごい嬉しい!」

笑顔で彼女はそう話す。

あのキッカケは、寝ても覚めても冷めやまぬ興奮への片道切符。終電はない。そんなどうしようもなく魅力的な365日への招待券を、荒川さんは配り続けている。

そして、大学生活を通して芽生えた「自分が住む地域に貢献したい」という思いを、「サッカー」というスポーツ、さらにその道のプロが集う街のクラブを通してかたちにしている。

もしかしたらこれは特殊な例で、チームによってあり方は変わるのかもしれない。ただ、スポーツクラブと地域、荒川さんの幸せな関係がそこにはあった。

「スタグルを食べに来るだけでも良いんです。何がキッカケになるか分からないから」

そういって彼女は今日も、スタジアムを走り回っている。

Cooporated with BLAUBLITZ AKITA
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Edited by Footysub
Photos by Yuuki Honda

 

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About Honda Yuuki

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本田悠喜(ほんだ ゆうき):自転車に乗って日本一周中。気ままに放浪中。ビタミン不足中。 津々浦々、ボールの周辺で喜怒哀楽を紡ぐ人々の思いを届けるために、今日もチャリを漕ぐ。

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