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Photo credit: JayD Photography via VisualHunt.com / CC BY
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フリースタイルフットボールが、サッカーにもたらすもの

「フリースタイルフットボールとは、ボールを使った”境界線の存在しない”自由なスポーツであり、”スポーツと芸術の融合”である」。女子選手として初めて「3回跨ぎ」のテクニックを成功させたインディー・カーウィの言葉だ。

今回考えてみたいのは「フリースタイルフットボールは、日本サッカーに何をもたらせるのか?」ということ。

スポーツとしてだけでなく、アートとしての側面を持つフリースタイルフットボールは、サッカーとは別のものと捉えることが出来る一方で、サッカーから生まれてきた新しいカルチャーでもある。

フリースタイルフットボールが盛り上がることは、サッカーにどういった未来を生み出すのだろう?

 

「ストリート」の重要性

 


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 ブラジルの伝説ロベルト・リベリーノは「ストリートフットボールの衰退によって、ブラジルが生み出す選手は年々質を落としている」と嘆く。彼の言葉を借りれば、「フットボールの世界には指導者が教えられない部分があり、それはストリートでの創意工夫によって磨かれる」のだ。

多くの名選手を生み出し続けたブラジルのストリートも、近代化の波によって少しずつ「子供たちの遊び場」としての機能を失っている。

貧困の中からも素晴らしいフットボール選手が生まれてくるのも、ストリートフットボールが重要な役割を果たしていることに関連している。彼らにとっての数少ない娯楽が、ストリートフットボールとなるからだ。

高価なスパイクを買えなかったヤヤ・トゥーレはストリートから見出され、アントニオ・カッサーノも路地でボールを蹴っているところをスカウトによって発見された。レスターで躍進したリヤド・マフレズも、ストリートサッカーの出身だ。彼も「ドリブルについては、全てをストリートから学んだ」と語る。

ブラックバーンのアカデミーを指導するコーチであるジョナサン・ヘンダーソンは、ストリートフットボールという文化を育成の一環としてイングランドでも復活させようとしている。子供たちが自らルールを設定し、大人のいない場所でプレーする。そういった「以前は当たり前だった」環境を用意することで、彼らは創造力を養うことを助けようとしている。

 

「フリースタイル」と「育成」

 


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 統制された指導と育成を強みとするサッカースクールやプロのアカデミーにおいて、子どもたちへのプレッシャーは徐々に強まっている。彼らは子どもの頃から多くの国際大会に出場し、勝利を目指して競い合う。そういった指導が世界で戦える選手を育成する上で重要である一方、弊害も存在している。

例えば、ウェイン・ルーニーはエバートンのユースに所属していた14歳の頃、指導者に自分のプレーを厳しく制限されてしまったことで、サッカーをやめることも考えていたという。アメリカの指導者イアン・マックルーグは、「フリースタイルフットボールは、子供たちへのプレッシャーを取り払うことを可能とし、創造性を磨く上で必要になる」と述べている。

フリースタイルフットボールの世界で活躍するダニエル・カッティングも、「フリースタイルフットボールは、自己表現を必要とする。自分で何度も間違えながら、徐々に工夫と共に学んでいく。こういったプロセスは、無意識にトップクラスのサッカー選手も取り入れている」と述べる。

彼によれば「自分の身体をどのように動かすか」を学ぶ面でも、フリースタイルフットボールは子どもにとって有意義だという。フリースタイルフットボール協会のダン・ウッドCEOも、「フリースタイルフットボールによって、子供たちが近年の育成で軽視されがちな技術を楽しみながら磨くことが出来れば、将来は創造性のある選手が生まれてくるはずだ」と語っている。

ケイル・シャフィは若干7歳で非凡なるテクニックを披露し、フリースタイルフットボールの世界で注目を集めた。彼はそのスキルを評価され、アストン・ヴィラのアカデミーへ加入。将来、フリースタイルフットボールが生み出したサッカー選手になる可能性を秘めている。フリースタイルフットボーラーとしても活躍したティム・リーがリバプール、ウィガンなどで育成年代の指導者として活躍したように、その垣根は徐々に失われつつもあるのだ。

 

フリースタイルフットボールは、蹴鞠の国へ

 

 中国でも、フリースタイルフットボールは育成面で大きな注目を集めている。広大なる土地と圧倒的な人口を抱えながら、フットボールというスポーツの育成においては日本や韓国の後塵を拝してしまっている彼らは、育成におけるフリースタイルフットボールの価値にも目をつけている。

マンチェスター・シティやアトレティコ・マドリードといった錚々たるビッグクラブへの投資を通じてアカデミーを中国へと招致している彼らの「育成熱」は天井を知らない。国際フリースタイルフットボール協会に2000万円を融資することによって、学校のプログラムにフリースタイルフットボールを組み込む許可を得た。

Chinese investment in football continues as Freestyle Football receives £180,000
http://www.cityam.com/237135/chinese-investment-in-football-continues-as-freestyle-football-receives-180000

彼らの目的は、フリースタイルフットボーラーの育成だけではない。学校教育を通じて子供たちがボールに慣れ親しむ環境を作り出すことによって、フットボール大国の建造を目指しているのだ。

 

フリースタイルがもたらすもの

 

 足を怪我してサッカー選手を諦めることになったアンドリュー・ヘンダーソンや、男性とのフィジカルの差に苦しんでいたインディー・カーウィにとって、フリースタイルフットボールは新たな選択肢を生み出した。現代を生きるサッカーを愛する子どもたちにとって、フリースタイルフットボーラーは憧れになりつつある。ソーシャルメディアや動画共有サービスの隆盛によって、フリースタイルフットボーラーの技術は瞬く間に拡散されるようになった。

フリースタイルフットボールが盛り上がっていくことは「サッカーにとっての良い影響」にも繋がっていくはずだ。派手なトリックを披露する青年達は、「スポーツを魅せる」ことを最も得意とするレッドブルによって世界中に配信されていく。

11月7日には、フリースタルフットボールの世界大会であるRed Bull Street Style World Finalがロンドンで開催される。日本からも日本チャンピオンズの「Ko-suke」が出場する。

が世界の舞台でプレーする姿を見ることで、日本でも多くの少年少女がボールを蹴る楽しみに気づくかもしれない。それは微力かもしれないが、日本サッカーの向上にも繋がっていくのではないだろうか。

Red Bull LIVE配信サイト(決勝ラウンドのみ)
http://www.redbull.tv/live/AP-1PQC3W8M11W11/red-bull-street-style-world-finals

Photo credit: JayD Photography via VisualHunt.com / CC BY

 

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About yuukikouhei

yuukikouhei
結城康平: DEAR Magazine 編集部で「KNOW」カテゴリ中心に編集、企画担当。やりたい事だけは沢山あるので、Dear Magazineと共に色々なことに挑戦していきたい。ジャンル問わずなんでも書く系。サッカー批評、Qolyなどに寄稿経験有り。今一番欲しいものは、新しいノートパソコンと可愛い小動物を飼える環境。好きなアーティストはエジンバラ出身のBlue Rose Code。

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