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サッカー雑誌ができるまで。1ヶ月住み込んで体験してきた

読者に届くまでには、一体何が起こっているのか!?

青森サッカー・フットサル専門誌、「青森ゴール」。青森に関わるサッカーやフットサルの情報のみを扱うというハイパーローカルサッカー雑誌で、以前、DEAR Magazineでご紹介しました。

そしてこれをきっかけに、青森ゴール編集部でお手伝いをさせて頂けることに。

というより、チャリがご臨終し(現在チャリでガチの日本一周中)、先に進めなくなった様子を哀れに思った編集長の松坂さんの救いの手により拾ってもらったという方が正しいのですが。

ともかく、住み込みでお手伝いすることはや1ヶ月。いつもみなさんが手に取っているサッカー雑誌がどのように作られ、読者に届けられているのかを徹底解剖します!

 

まずはここから。「企画立て」

 

“編集会議”からすべてが始まる!

最初にどんな記事を掲載するのかを決める編集会議を行います。

企画はメディアの柱。それぞれがアイデアを出し合い、読者からの反応も踏まえながら、徹底的に考え抜いて次号に載せる内容を決めていきます。最終的には編集長が掲載する内容を決定する場合が多いようです。

“台割り”を作る!

編集会議を経て掲載する内容が決まると、次は台割りを作ります。

台割りとは、雑誌の設計図のようなもので、「〇〇ページに〇〇の内容を掲載する」といったことを示す表を指します。雑誌作りの基礎になる部分です。

このように、①掲載する内容を決めて(編集会議)、②それらを誌面のどこに載せるかを決める(台割りの制作)までが「企画立て」の主な内容になります。

編集会議で印象的だったのが、読者の声がちゃんと届いていること。「〇〇という指摘や要望があって〜」と会議で取りあげられる意見もあります。読者の皆様、アンケートってちゃんと読まれているのです!

ちなみに、青森ゴールの編集スタッフにはもともとは読者の方々もいます。読者の視点を編集部にダイレクトで伝える、青森ゴールの制作に欠かせない方々です。

 

コンテンツの命、「取材」

 

「企画立て」の次は「取材」です。取材の成否はコンテンツの命。誌面の充実度を左右する重要な工程です。

まずは“取材申請”

取材の準備段階として、「企画立て」で決まった内容に沿った取材先の選定取材の申請を行います。

取材をしたい対象へのコンタクトを試みることになるわけですが、基本的な方法は「電話をする」「取材申請書を送る」かに大別されます。

青森ゴールの場合、例えば青森山田高校を取材したいときは、青森山田高校へ電話を入れて取材が可能か問い合わせます。これが全国高校サッカー選手権での取材になると、大会のホームページから取材申請書をダウンロードしてFAXで送ります。

その後申請が通れば、取材日時などの調整、取材を依頼するライターやカメラマンへの呼びかけ、打ち合わせなどを行います。

実際に“取材”へ!

いよいよ取材です!

初めて取材を行う取材対象の場合は、取材テーマなどを細かく伝えることも多いようです。同行させていただいたあるチームの取材時は、取材相手に挨拶する際に取材の趣旨等を説明し、あとは写真撮影やコメント取りをするため割と自由に動いていました。

決まった時間でのインタビューなど、計画性必要とされる場合は、事前にある程度の質問内容を伝えておき、相手に余裕を持ってインタビューに臨んでいただけるよう配慮することもあります。

取材の中でも特にインタビューは聞き手の力量が試されます。ここで有力な情報や取材対象のおもしろい言葉を引き出せる方が優秀なライターなのかもしれません!

取材に同行して印象的だったのが、子供から大人まで、青森ゴールが広く受け入れられているということです。「最初は会う人会う人に名刺を渡して挨拶してたよ」という松坂さんの言葉がずっしり響きます。

取材後、原稿をどのような構成にするのか、ライターやカメラマンの意見も聞きながら詰めていきます。どの写真を誌面に使うのかも、この段階で決めておくことが多いようです。

 

原稿を生かすも殺すもデザインしだい?「レイアウト制作」

 

次は実際に誌面を作っていく「レイアウト制作」です。

「レイアウト制作」では、誌面での原稿や写真の配置(デザイン)を決めていきます。

ここで登場するのがデザイナー。まず編集部で簡単なレイアウト(ラフレイアウト)を制作し、その後デザイナーに調整を依頼します。

それぞれの雑誌のテイストに合うように配慮しながら読みやすく、美しくレイアウトを完成させるのがデザイナーの仕事です。

どれだけ優れた原稿や写真が手元にあっても、デザインしだいで印象も大きく変わります。原稿や写真を生かすも殺すもデザインしだいなのです。

さっきまでバシバシ写真を撮っていたスタッフの方が、オフィスに戻るとパソコンの前に座り黙々とレイアウトを制作しています。

その後、デザイナーから受け取ったレイアウトをもとに、ライターに原稿を依頼します。あがってきた原稿をチェックし、問題がなければ実際にレイアウトにハメていく。写真も同様です。

こうしてできあがった最終レイアウトを微調整し、印刷会社へ入稿。「校正作業」へ移ります。

 

最も地味で、最も大切な「校正作業」

 

印刷会社から返ってきたゲラ(試し刷り)を校正作業にかけます。原稿に事実の誤りや誤植などのミスがないか、編集部総出でひたすらチェックを行います。

これは雑誌作りにおいて一番地味な作業。しかし、雑誌(紙メディア)は一度世に出てしまうと間違いの修正が困難(事実上不可能に近い)なため、小さな誤字でも大きな失態になってしまいます。そのため、この作業は特に念入りに挑む必要があるのです。

僕も沢山の校正作業を任せてもらいました。こういう間違い探しは客観的な視点が必要となる作業で、集中が切らせません。

天井のシミを数えるがごとく、兎にも角にも確認、もう一回確認、またまた確認最後にもう一回! です。

青森ゴールでは以前、雑誌ができあがったあとに間違いが見つかり、編集部総出で修正をかけたそう。編集スタッフの夏目さん曰く「地獄の作業」だったそうな……。

 

発送、ついに店頭へ!!!

 

地獄の校正作業が終わると、最終原稿として印刷会社に再び入稿し、編集作業はここで終了。

できあがった雑誌が印刷会社から編集部に届けられると、各販売店舗に発送するため仕分けし、店頭に貼ってもらうポスターや注文書なども同封し梱包します。

そうして数十個に膨れ上がったダンボールの山を、車でスタッフが自ら各店舗へ届け、やっと、やっと店頭に並びます。そして、編集部は次号制作の作業に移っていくのです。

苦労して生み出した雑誌が買われていく姿を見ると、感慨もひとしお。今回、制作に関わらせてもらった(ほんの数ミリ)青森ゴールVo.42号を書店で見かけたとき、得も言われぬ感動で自然と笑みがこぼれてしまいました。

編集スタッフの芳賀さんも、特に青森ゴールの創刊号が出たときには「苦労が報われた気がした」と振り返っていました。

 

青森ゴールの流儀。「全部俺らでやる」

 

左から夏目さん、編集長松坂さん、芳賀さん

 

基本的にこのような過程を経て、雑誌は作られていきます。まとめると、

企画立て→取材→レイアウト制作→校正作業→印刷→各店舗への発送→販売

という順序となります。

このうち編集部が行う作業は(基本的に)校正作業まで。青森ゴールも基本的にはこの流れを踏襲しています。

しかし、ここまで読んでちょこちょこ違和感を感じた方もいるかもしれません。それもそのはず、青森ゴールには一般的な雑誌の制作と決定的に違う点が2つあります。

それは、

制作工程すべてを青森ゴール編集部員が行う(連載のコラムは別)
雑誌の配送も自分たちで行う

 

ということです。要は、「全部てめーでやる」ということです。

普通は各作業をそれぞれのプロが分担して行うものですが、青森ゴールではスタッフの全員が各工程を兼任します。つまり、ライターであり、デザイナーであり、カメラマンであり、編集者でもあるのです。

制作作業のすべてが編集部内で完結するので、編集方針を誌面にスムーズに、最大限表すことができるというメリットがあります。

読者との距離の近さを徹底追及するという方法で戦ってきた青森ゴールにとって、このメリットは大きいのだそう。

また販売契約を交わしている県内各店舗への配送もそう。一般的には取次(いわゆる問屋)へ依頼する発送作業ですが、スタッフが自身で行うため、書店員さんと毎度顔を付き合わせます。

食材を自分たちで育て、自分たちで収穫し、自分たちで調理し、商売の基本中の基本、顔の見える関係を作り上げている。それが青森ゴールが地域で支持される理由なのかもしれません。

 

目指すは子供たちの「酒の肴」。
サッカー雑誌という「アルバム」

 

雑誌不況と言われる中で青森ゴールのやり方が面白いのは、読者の要望が企画になるところ。

例えば、チームの指導者や子供たちからの「うちを取材して!」という要望に寄り添い、実際に応えることで買う側にとっての特別感を創出しています。

この特別感の先にあるのが、「雑誌のアルバム化」です。

こどものころスポーツをやったことがある方、大会のパンフレットなどに自分のプロフィールが載っているだけでテンションが上がったりしませんでしたか?

幼い頃、友人と騒いで監督に怒られませんでしたか?

なんせ、自分や自分の子供が誌面を飾るのだから嬉しくないはずがない。主な購買層を「子供たちの親」が占めているのも納得です(ちなみに次点は子供たち)。「うちの子が載った記念の号だから買う」というアルバム要素が、青森ゴールの屋台骨を支えています。

編集長の松坂さんは、「子供たちが大人になったとき、雑誌片手にお酒を飲みながら盛り上がってくれれば」と話します。まさに、雑誌がアルバムになる瞬間です。ちなみに、子供たちが特に喜ぶのが、「チームの集合写真」だそう。

 

普段、何気なく手に取っている「サッカー雑誌」。それができるまでにはたくさんの思いや物語が込められていて、少しずつ、少しずつできあがっていくのです。そうして僕たちの手に届いている。

今回、本屋に並んでいる数多くの「雑誌」の裏側にある「思い」を見ることができたのは、貴重な体験でした。青森ゴールの皆様、本当にありがとうございました!

本屋に立ち寄るのがまた楽しくなりそうです!

取材協力:青森ゴール

デジタル版も同時に発売中、青森県外の方はこちらから。
http://www.fujisan.co.jp/product/1281691519/

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About Honda Yuuki

Honda Yuuki
本田悠喜(ほんだ ゆうき):自転車に乗って日本一周中。気ままに放浪中。ビタミン不足中。 津々浦々、ボールの周辺で喜怒哀楽を紡ぐ人々の思いを届けるために、今日もチャリを漕ぐ。

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