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サガン鳥栖移籍が決定。ビクトル・イバルボのここを見ろ

サガン鳥栖移籍が決定したビクトル・イバルボ。カリアリ時代には、指揮官イヴォ・プルガから「素晴らしい潜在能力を持ち、数年後にはトッププレイヤーになっていても不思議ではない」と絶賛された若きコロンビア人アタッカーは、マルコ・サウと共にサルデーニャ島南部のクラブを牽引した。

ASローマ時代にはフランス人指揮官ルディ・ガルシアに「王者になれる力がある」と絶賛されながらも結果を残せず、再起を期したワトフォードでも出場は4試合に終わる。

才能の宝庫として知られるコロンビアから、カリアリ時代の恩師であるフィッカデンティを頼りJリーグにやってくるビクトル・イバルボ。彼の「ここを見ろ」ポイントを、ちょっと詳しめに紹介していきたい。

 

 

圧倒的なフィジカルを武器とする、異色のウイング

 

188cmの恵まれた体躯に加え、圧倒的な手足のリーチ。長身ながら、柔らかくボールを足下に置くことが出来る柔軟性。欧州でも通用する懐の深さによって、彼はディフェンダーを苦しめる。

長い腕で迫ってくる相手を牽制しながらのボールキープは必見で、日本の選手にとってキープされた時の「ボールの遠さ」は未知の体験となるはずだ。特に左サイドに起用された際は、相手にとって非常に厄介なボールの預け所になった。フィジカルに劣る傾向にある右サイドバックはイバルボのパワーに苦しむ。

コロンビア代表においても、彼が招集された理由は「長身のウイングプレイヤー」という異質さによるものだった。ユベントスのフアン・クアドラードやレアル・マドリードのハメス・ロドリゲスとは異なるタイプのアタッカーとして、後半からジョーカー的に起用されることも目立った。

イタリアの地ではマリオ・マンジュキッチが左サイドアタッカーとして新境地を開拓しているように、Jリーグにおいても最もイバルボが得意としている「左サイドアタッカー」としての出番があるかもしれない。

一方で、現在のサガン鳥栖は4-3-1-2を採用。トップ下や2トップの一角としてもプレーする機会はあるはずだ。

 

創造性と技術を兼備する、トリックスターの片鱗

 

足下にパスを受けたとき、イバルボは「一度ボールを止める」ことを好む。ボールを止めることによって、対面する相手ディフェンダーが飛び込んでくることを牽制。

バルセロナやACミランで相手を翻弄したロナウジーニョのように、イバルボは一度ボールを止めてから自分のリズムで仕掛けることを好んでいる。足裏での巧みなボールタッチに加えて、股抜きやクライフターンでの切り返しも得意とする。

常に相手を騙すことを狙っているドリブルは、長身選手とは思えない足下の緻密なボールタッチによって支えられている。懐の深さを利用したキープから、相手の意表を突くような突破へと繋げることも少なくない。

さらに、フェイントによって抜け出す際にはリーチの長さとフィジカルも武器になる。五分五分の状況に持ち込んでしまえば、先にボールに触るのはイバルボになることが多いからだ。

それゆえに、突破を狙った際にファールを受けることも多い。現在、鳥栖には3試合で2本の直接FKを沈めたMF原川力が所属(川崎フロンターレからの期限付き移籍)している。イバルボが奪ったセットプレーを原川が決める、という形も見えてくる。

 

変化しつつあるプレースタイルと、怪物の弱点

 

カリアリ、ローマ時代は一気に長距離を抜け出していく最高速度と長いストライドを生かした力強い加速で知られていたイバルボだが、体重が80kg近いこともあって俊敏性や方向転換に優れたタイプという訳ではない。

若い頃は母国の英雄であるファウスティーノ・アスプリージャと比較されたこともあったが、彼のようなステップワークとプレースピードを持っている訳ではない。

オフ・ザ・ボールでの走り込みを得意としている訳でもないことから、スピードを発揮出来る場面は相手と接触しながら長い距離をドリブルで持ち込むような場面に限られる。

特にギリシャのパナシナイコスFCで過ごした昨年は、スピードだけで勝負出来る場面は少なくなっていた。

一方で、プレーエリアは以前よりも広がっている。チームを助けるために中盤まで引いてきてボールを受けることも増えており、ギリシャではセカンドストライカーでも起用されている。位置取りの自由さは大きな武器であり、戦術に縛り付けるよりもカリアリ時代のようにポジションを固定し過ぎずに力を発揮させるべきだろう。

最大の弱点としては、判断のスピードだ。テクニックでの勝負に固執する傾向に加えて、シュートに持ち込む判断が遅いことが、決定機を作り出してもゴールに直結しない理由と言える。身体能力があってもポストプレイヤーとして機能しきれないのも、周りを使う判断がトップレベルでは遅いからだ。足下でボールを扱う自信があることが、マイナスにも働いていると言えるだろう。

 

サガン鳥栖は、イバルボをどのように生かすべき?

 

圧倒的なフィジカルと、相手を翻弄するようなトリッキーなフェイント。柔と剛を兼ね備えながら欧州では結果を残せなかった怪物が、潜在能力を発揮したのは間違いなくカリアリ時代だろう。

広い範囲を動き回るマルコ・サウや、判断力に優れる仕事人アンドレア・コッスと共にポジションチェンジを繰り返しながらカウンターを仕掛け、2012–13シーズンは6得点を記録した。選択肢が多い状態で力を発揮するタイプではないこともあり、孤立した状態で力を発揮させることが重要となるはずだ。前線に君臨するエース豊田陽平を輝かせるためには、左ウイングでの起用が解決策となるのではないだろうか。


カリアリ時代のイバルボ/photo by AssassinsCreed from wikimedia commons

パナシナイコスではアンドレア・ストラマッチョーニ、ワトフォード時代はワルテル・マッツァーリの指導を受けているように、イタリア人指揮官との相性は悪くないはずだ。使いこなすことが難しい怪物を輝かせる術が見つかれば、間違いなくイバルボは「フィッカデンティの懐刀」となる。26歳という若さも、非常にポジティブな要素だ。

イタリア人ジャーナリストAlfredo Pedullà(アルフレッド・ペドゥーラ)氏によれば、サガン鳥栖とカリアリの契約内容は「買い取り義務付きの3年間ローン」とのこと。報道が正しければ、1年毎にローンを繰り返された過去とは異なる。鳥栖の地に馴染む時間が与えられた今、コロンビアの怪童は開花のときを待つ。

【修正】
・イバルボ昨年所属クラブをオリンピアコスからパナシナイコスFCに修正
・左サイドに起用された際は→右サイドに修正

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About yuukikouhei

yuukikouhei
結城康平: DEAR Magazine 編集部で「KNOW」カテゴリ中心に編集、企画担当。やりたい事だけは沢山あるので、Dear Magazineと共に色々なことに挑戦していきたい。ジャンル問わずなんでも書く系。サッカー批評、Qolyなどに寄稿経験有り。今一番欲しいものは、新しいノートパソコンと可愛い小動物を飼える環境。好きなアーティストはエジンバラ出身のBlue Rose Code。

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