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ある元Jリーガーと僕の出会い。アジアの小国で開花した、心優しい渡り鳥 /2015年 シンガポール・リーグ得点王:ハマゾッチ

Ramazotti。彼の名前を覚えているサッカーファンはどれだけいるだろう。日本ではハマゾッチと呼ばれ、アビスパ福岡とガイナーレ鳥取でプレーしたブラジル人ストライカーだ。昨年、シンガポールSリーグで得点王を獲得し、ブルネイDPMM FCの初優勝に大きく貢献した。ブルネイという地で大きく開花した、そんな彼と私との交流は思いがけないものだった。アジアの小国で奮闘するハマゾッチのいまと、彼が大好きだという日本への想いを聞くことができた。

 

心優しい長身ストライカーとの出会い

 

 まず、ただのサッカー好きに過ぎない私が、何故Sリーグ得点王と交流を持つようになったのか。

 それは昨年8月、ブルネイのスタジアムを訪れたときのこと。私は試合後のピッチへ降りてハマゾッチ選手と話すことができたのである。明らかな部外者であるを私をスタッフは一度制止するも、彼と話したいと伝えるとあっさり繋げてくれた。緩い。

 最初は驚いていた彼だが、私が日本から来たこと、彼のプレーをここで観ることができて嬉しいと伝えると満面の笑みで応えてくれた。

この日は無得点も、前半で退場者を出す苦しい展開の中、守備に攻撃にフル回転だった。
この日は無得点も、前半で退場者を出す苦しい展開の中、守備に攻撃にフル回転だった。

 

「今日はゴールを決められなくて残念だけど、試合に勝てたからとにかく嬉しい。遠くから来てくれてありがとう。日本は大好きだよ。またプレーしに行きたいね」

 流行りの言葉を使うなら、「神対応」。サインに記念撮影、そして彼がプレーした福岡にちなんで持参したお土産をその場で付けるお茶目な一面も見せてくれた。試合が終わってもプロフェッショナルだった。

福岡名物「にわかせんぺい」のアイマスクを付けたお茶目なハマゾッチ選手
福岡名物「にわかせんぺい」のアイマスクを付けたお茶目なハマゾッチ選手

 

 彼がロッカールームに戻る姿を見届けていると、とある女性に声をかけられる。どうやらハマゾッチ選手の奥さんらしい。素敵な笑顔で近づいてきた。

「日本から来たのでしょう?遠くからありがとう。私、日本が大好きでまた住みたいと思っているの。今でも彼のことを応援してくれるなんてとても嬉しいわ」

 以降、私はSNSなどのやり取りを通して、ハマゾッチやハマゾッチの奥さんと交流を持つようになった。2人は私が投稿する日本サッカーの内容に頻繁に反応してくれる。本当に日本が好きなのだろう。私も応援のコメントを送るなどして今でも交流は続いている。

 そういった経緯があって、今回ブルネイの地で奮闘するハマゾッチ選手の現在を多くの日本のサッカーファンに知っていただきたく、この記事を書き上げるに至った。少々贔屓目な内容になってしまうが、その点はご了承願いたい。

 

ブルネイの地で大きく花開いた得点力

 

 ここで、これまでのハマゾッチ選手のキャリアについて振り返る。

 母国ブラジルの名門パルメイラスでプロキャリアをスタートさせるが、トップチームへの昇格に至らず、ブラジル国内の小さなチームを渡り歩いた。毎年のように所属チームが変わる渡り鳥のようなキャリアで、2010年夏にポルトガル2部のジル・ヴィセンテに移籍。ここで1シーズン8得点を記録。この活躍が目に留まり、彼は2011年夏に当時J1のアビスパ福岡に加入。しかしリーグ戦出場4試合で1得点に留まり、チームはJ2降格。その後はスイスでもプレーしたが、目立った活躍は残せず、ブラジルに帰国。2014年夏にはガイナーレ鳥取に加入し、途中加入ながら12試合出場4得点の成績を残すも、契約延長には至らず退団となった。

 

鳥取に在籍した半年で4得点。充実していたが契約延長とはならなかった。 -Photo courtesy of Ramazotti
鳥取に在籍した半年で4得点。充実していたが契約延長とはならなかった。– Photo courtesy of Ramazotti

 

 そんな苦難続きのキャリアに、昨年転機が訪れる。ガイナーレ鳥取を退団後、シンガポールSリーグに参加するブルネイDPMM FCに加入。その開幕戦、ハリマウ・ムダ戦でいきなりハットトリックを達成する衝撃的なデビューを飾ったのだ。

(開幕戦動画) 

 彼はチーム内ですぐに信頼を勝ち取り、平均身長が比較的低いSリーグにおいて、193センチの長身を武器に空中戦で無敵の強さを誇った。その高さは得点源としてだけでなく、守備の面でもチームを助けた。さらに、途中加入したポルトガル人MFパウロ・セルジオから高精度のボールが供給されるようになると、更なる勢いでゴール量産。公式戦26得点、内リーグ戦で21得点を記録しSリーグ得点王を獲得。ブルネイDPMM FCのSリーグ初優勝に大きく貢献し、キャリアの中で1番充実したシーズンとなった。

オーバーヘッドシュートを放つハマゾッチ選手 - Photo courtesy of Ramazotti
オーバーヘッドシュートを放つハマゾッチ選手 – Photo courtesy of Ramazotti

 

今なら日本でも得点王になれる

 

 今年1月、ブルネイDPMMを紹介する記事を書くから話が聞きたいと彼に伝えたところ、開幕戦の2日前という忙しい時間の中、話をする時間を設けてくれた。


ー昨年Sリーグの得点王を獲得しましたが、得点を量産できた理由は何ですか?

監督とチームメイトが自分をとても信頼してくれたことが1番の理由だった。すごくプレーしやすかったね!僕は今なら日本でも得点王になれると思ってる!どこででもプレーする準備はできているし、どこに行っても得点王になれると思う。自分を信じて、目標に向けて努力しているよ。

スティーブ・キーン監督(中央)と、ともに攻撃陣を引っ張ったパウロ・セルジオ(左) - Photo courtesy of Ramazotti
スティーブ・キーン監督(中央)と、ともに攻撃陣を引っ張ったパウロ・セルジオ(左) – Photo courtesy of Ramazotti

 

ー昨年、日本でまたプレーしたいと言っていたけど、オフに日本のクラブから話はありましたか?


残念ながら日本のクラブからは話がなかった。オフにUAEとヨーロッパのクラブからは話があったけど、DPMMに誠意を感じ、家族もブルネイを気に入っているから今季もSリーグでプレーすることになったよ。だけど僕はまた日本でプレーしたい!僕と妻は日本が本当に大好きで、また住みたいよ!
僕は日本なら一生住んでもいいと思ってる。


ハマゾッチ選手はJリーグとSリーグの違いについてどう感じていますか?

本当にいろんなことが違う。選手のレベルやサポーターの熱心さ、リーグやクラブの構造も違うね。大きな違いがいっぱいあって、Sリーグはまだまだ改善の余地がある。ブルネイには概ね満足しているけど、僕は全ての面でハイレベルなJリーグにまた挑戦したい。日本のレベルの高い選手たちの中で、日本の熱心なサポーターの前でまたプレーしたいね。


ーそう言ってもらえると日本人としてすごく嬉しいです。日本で再びプレーするためには今季のプレーが大切だと思います。意気込みをお願いします。

昨シーズン同様、優勝と得点王を再び勝ち取ってみせたい。(外国人枠削減で)強力な仲間が何人か去ったけど、それでも僕たちは歴史に名を刻むためにプレーする。その通りになれば最高だね!

 

今季終了後、自身の部屋にもう1つトロフィーを飾ることができるか。 - Photo courtesy of Ramazotti
今季終了後、自身の部屋にもう1つトロフィーを飾ることができるか。 – Photo courtesy of Ramazotti

 

ー最後に日本でも気にかけてくれているサポーターに一言お願いします。

日本のサポーターには心からありがとうと言いたい。みんないい人たちだし、常にたくさんのサポートしてくれる。僕は日本が大好きだ。日本でプレーしていた時は本当に楽しい時間を過ごせた。だからできるだけ早くまた日本でプレーしたい。日本はいつも僕の生活と心の中にあるよ!

ハマゾッチ選手が是非使ってほしいと提供してくれた鳥取サポーターの写真- Photo courtesy of Ramazotti
ハマゾッチ選手が是非使ってほしいと提供してくれた鳥取サポーターの写真 – Photo courtesy of Ramazotti

 

ーシーズン開幕前の忙しい中、丁寧に答えてくれてありがとうございました!たくさん答えてもらえたから、やっぱりハマゾッチ選手単独の記事を書くことにするよ(笑)

ありがとう!その記事が僕の日本への移籍を手助けしてくれたら最高だね!

 

 まず、ただのサッカーファンに過ぎない私にシーズン開幕前の忙しい時間を割いて親切に答えてくれたハマゾッチ選手にこの場を借りて心から感謝を申し上げたい。そして、 「今なら日本でも得点王になれる」 と聞いて非常にゾクゾクした。昨シーズン大きく自信を付けたことの現れに違いない。心身ともに充実した彼がJリーグでプレーしているところを見たい!今からでも移籍してこないか!?そう思えるくらい頼もしい言葉だった。


2年目のジンクスを打ち破った先に、日本でのプレーも見えてくる

 

 今年のSリーグは2月13日に開幕し、ブルネイDPMM FCは2試合で1分1敗とスタートでつまづいてしまった。今季から外国人枠が3人に削減され、守備的な外国人選手を2人放出。その結果、開幕戦で3失点。第2節でも1人少ない相手に先制を許すなど守備は非常に心もとない。

 ともすれば攻撃陣が奮起するしかない。昨季抜群の連携を見せたパウロ・セルジオが残留。そして昨季Sリーグ最優秀若手選手に選ばれたブルネイのホープ、アズワン・アリの成長も著しい。2人から供給されたボールで何回ゴールネットを揺らすことができるか、チームの命運はそこに懸かっている。第2節、1人少ない相手に引き分けという試合結果はともあれ、ストライカーであるハマゾッチ選手が早めに1点を取ることができた。これをきっかけに上位争いに食い込んでもらいたい。

 

第2節動画


 これまで1つのチームに長く在籍してこなかったハマゾッチ選手にとって、マークが厳しくなる2年目というのもまた刺激的な挑戦なのかもしれない。この挑戦に勝利してこそ、彼が夢見る日本でのプレーは現実味を帯びてくるはず。今季のSリーグは開幕から快進撃を続けるアルビレックス新潟シンガポールだけでなく、小国で奮闘する心優しいブラジル人ストライカーにも是非注目してもらいたい。ハマゾッチ、きみならやれる!

- Photo courtesy of Ramazotti
Photo courtesy of Ramazotti

 

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footysab: フットボールという物差しを片手に、日本のみならず世界を旅するトラベラー。プレーする人、サポートする人の数だけ、様々なフットボール観があって、それを確かめに行く旅はとても楽しいものです。貴方のフットボールライフをちょっと豊かにする気付きになってもらえたら、不器用ですがそんな想いで各地で見てきたものを書き留めていきます。

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